ネザードラム

文章と図解でアプローチするドラムブログ

ドラムは子供の教育に効果があるのか?

(2024.4.18)

ここ何年か、子供が楽しめる習い事として、ドラムがメジャーな選択肢になりました。

ピアノほどではないものの、

1つの小学校にドラムを習っている子が数名いることは珍しくありません。

 

一説によると、ドラム人口は増えてはいないけど減ってもいないそうで、

これは実はすごいことで

ギター人口は全盛期の10分の1にまで減っているそうですが

ドラムに関しては、日本人も子供も減っているのに、若返りながら人口をキープしています。

 

この記事では

子供がドラム・音楽・楽器に取り組むことでどういう教育効果があるのか?といったことと同時に、

 

もっと話を広げて、子供にはなにを教えればいいのか?

ドラムや音楽なのか?

読み書きそろばんなのか?

勉強の楽しさなのか?

 

お子さん1人1人にとって最適な習い事が見つかるような内容にできればと思います。

 

子供に効果的な習い事とは

ひとつの結論は 

非認知能力が身につく習い事

 

この記事では「非認知能力」についてクローズアップします。

主に

・ジェームス・ヘックマン「幼児教育の経済学」

・経済学者 中室牧子さんの発言や著書「学力の経済学」

・小塩真司さんの著書「非認知能力」

などを参考にしています。

非認知能力とは

学力・IQなど知能検査で計れる能力が「認知能力」

そうではない、数値で計れない能力が「非認知能力」です。

非認知能力
  • 誠実性
  • GRIT(やりぬく力・諦めない心・粘り強さ)
  • 自己制御
  • 好奇心(新しい学びを求める力)
  • 批判的思考(クリティカルシンキング)
  • 自尊心
  • メタ認知
  • 逆境をしなやかに生き延びる力 など

これ以外にもいろんな項目があるみたいですが、ざっとわかりやすい能力を挙げてみました。

 

小さいうちに非認知能力を身につけると

それが元手になって次の能力を身につけやすく

スキルがスキルを呼ぶ循環になって、人生に良い影響を与えるといわれてます。

 

非認知能力を身につけた子は

  • 学歴が高い、高校を卒業する率が高い
  • 仕事に就く率が高い
  • 犯罪率が低い
  • 健康状態が良い

こういった傾向がみられるとのことで

研究が最近になるほど、非認知能力が収入の多さに及ぼす影響が大きいともいわれています。

ひょっとしたら学歴よりも影響が大きいかも?という見方もあるそうです。

 

たとえば学歴が高いけど仕事をやり抜く力が低い、といった場合にはいろいろ難しいものがありますが

 

学歴が低くても

現場で仕事がよくできたり、人間関係を築けるほうが社会的に認めらるのは自然なことで、これは多くの人が普通に感じていることですよね。

 

これまで学力でやっていた仕事の多くを機械がやるようになって

機械化が進んだからこそ逆に、人間のもつ人間力の価値が高まったと考えられます。

 

ここまでの内容を一旦まとめます。

  • 非認知能力は、やり抜く力だったり自制心だったり
  • それが元手になって、また新しいスキルが身についたり収入が増えたり
  • 長期にわたって人生に良い影響を与える

非認知能力は勉強・知能とは別であって

勉強が苦手でも非認知能力が高いことはあり得るそうです。

非認知能力を伸ばす習い事って?

では、非認知能力が伸びる習い事ってなに?

 

お子さんの適正にもよるので1人1人答えは違いますが、習い事を選ぶときのポイントを4つ挙げてみます。

 

1.好奇心や興味がもてること

基本的には興味がないことはあまり身につかないのでコスパが悪いです。

どのような習い事も上達するにつれて難易度は上がっていきますが

好きなことなら努力を努力と思わずに頑張れてしまうことがあるので、その道すがらで多くの学びがあります。

 

2.自分のペースで成長できること

スポーツ系となると勝ち負けがあることが多いです。

負けを教わることも重要な学びですが

勝ち負けばかりを重視しすぎないで、プロセスを重視して取り組めることがオススメです。

 

3.楽しみながら粗大運動したり指先を使うこと

粗大運動とは姿勢やバランスを保ったり、歩く、走る、ジャンプする、といった身体全体を使う運動です。

脳に刺激を与えて発達を促し、非認知能力を伸ばすのに有効といわれています。

 

4.主体性をもって取り組めること

先生から一方的に習うだけでなく

コミュニケーションをとりながら、子供が主体性をもって取り組むようなもの。

自分で目標を立てるとか、練習したことを記録するなど、達成度を管理するような経験が自制心を育てるといわれてます。

 

なかでも音楽や美術は効果が高いといわれていますが

スポーツ、ダンス、料理、工作、リトミック、自然体験教室など

先に挙げた4つのポイントを意識しながら、お子さんに合うものを試してみるのがおすすめです。

 

ところで、この4つのポイントは習い事だけでなく、普段の遊びにも当てはまります。

遊びも非認知能力を伸ばすのに重要といわれています。

 

注意したいのが、習い事をやり過ぎると遊ぶ時間が減ることです。

 

たくさん習い事をすると

子供が疲れてしまって、疲れた状態で次の習い事に行っても、教育としての効果は低くなります。

子供のためを思って習わせているのですが、モチベーションの低い習い事を惰性で続けているようなら

なにかの遊びに夢中になるほうが非認知能力はアップする、といえます。

ドラムで非認知能力は伸びる?

非認知能力を伸ばすのに効果が大きい、といわれている習い事の1つが音楽ですが

この項では、私の専門分野であるドラム・楽器・音楽の観点から話していきたいと思います。

 

音楽の場合は

楽譜を読んだり、順番をおぼえるなどの点では、読み書きそろばんのような知能的なものですが

楽器を使ってトレーニングしていく道すがらでは、非認知能力が伸ばせるといわれています。

 

演奏というのは実は非常に複雑な活動です。

目・耳・手足・指先・体幹を使いながら、瞬間ごとにいろんな判断を下し、脳が刺激されます。

 

関連記事【楽器の演奏と練習と脳の発達】

netherdrum.hatenablog.com

練習のプロセスでは

目標を立てる・挑戦する・試してみる・没頭する・葛藤する

こういった意思決定が積み重ねられていくことで、心が鍛えられるのではないかと考えられています。

 

決められた楽譜をきちんと演奏することは再現性ですが

私のドラムレッスンでは

楽譜どおりに演奏する再現性、も大切にしつつ、

楽譜どおりに演奏しない創造性、も重視しています。

 

楽器のなかでも特にドラムは

きっちり再現自由に創造

このバランスがとても重要で

・楽譜を守ることもできるし

・楽譜を守らないで音楽を成立させることもできる、

といった両方の能力を伸ばしながらレッスンをしています。

 

ドラムは基本的には人と合奏したりバンドをやることが多く

(バンドをやらずに1人で楽しむのも全然OKですが)

誰かと演奏することで楽しさが倍増するのですが

人間どうしが楽器を鳴らしてタイミングが合うと人間関係になります。

 

「人とつながっているんだ」「一緒にやっているんだ」という関係ができて

相手を意識したり、相手からのメッセージを受け取ったり。

 

その相手は年齢がまったく違っていても

言葉が通じない外国の人だとしても、音楽が同じ焦点になって人間関係が成立することがあります。

音楽そのものが人を呼び寄せてつなぐ性質をもっているので、非認知能力を伸ばすのにもより効果がありそうだ、と考えています。

まとめ

子供に何を教えるか?

習い事はなにがいいのか?

その答えのひとつが、非認知能力が身につくことです。

 

非認知能力とは、自制心や、やりぬく力など。

これは知能、勉強、IQとは別の力です。

身につけた非認知能力が元手になってスキルがスキルを呼び、人生に良い影響を与えるといわれています。

 

習い事の選び方のポイントは4つ

1.子供が興味をもつこと

2.自分のペースで取り組めること

3.粗大運動や指先をよく動かすこと

4.自主性をもって取り組めること

 

お子さん1人1人にとって最高の習い事が見つかると幸いです。