ネザードラム

文章と図解でアプローチするドラムブログ

初心者の方向け ドラムスティックの持ち方 4種類

(2024.4.18更新)

「ドラムのスティックって、どうやって持てばいいの?

ドラムを始めたばかりの方が、疑問に感じるのがスティックの持ち方です。

 

スティックの持ち方は人それぞれで、正解は1つではないのですが、

それでもいくつかの合理的な持ち方はあるし

逆に、ケガのリスクが高まるNGな持ち方も存在します。

 

この記事では

それほど難しい深い内容にまで掘り下げず

ドラムスティックの持ち方に迷う方が気軽にヒントを得られる内容にしたいと思います。

 

たくさんの情報があふれるなか、適切でない情報を選び取ってしまうと、遠回りになったり、身体を痛めるかもしれません。

 

ドラムを始めて早期のうちに、スティックの持ち方を結論づけないことが重要で

この記事の内容は

皆さんが自分に最適なスティックの持ち方を見つける「旅の出発点」と捉えていただければ幸いです。

 

マッチドグリップとトラディショナルグリップ

 

まずドラムスティックの持ち方といえば

「普通の持ち方」をマッチド・グリップ

「ジャズっぽい、マーチングっぽい持ち方」をトラディショナル・グリップ、またはレギュラー・グリップと呼びます。

 

トラディショナルグリップについては

個人的には7年ぐらい練習したのですが全く上手ではないのでこの記事では割愛します。

 

この記事で掘り下げるのは、マッチドグリップについてです。

私の場合はマッチドグリップでも、さらに4種類の持ち方を使い分けています。

  1. 人差し指支点
  2. 中指支点
  3. 小指支点
  4. 支点なし

これら4種類の持ち方は外見上はほぼ同じに見えるのですが、各指の役割が違います。

これによってスティックが動く原理や

指~腕~肩~背中にかけて、筋肉の使われ方にも影響します。

ドラムスティック 人差し指支点の持ち方

 

  • 人差し指でアルファベットの「U型」を作る
  • U字のくぼみにスティックを置いて
  • 親指のはらでフタをする

 

(左写真)

指2本でスティックを「つまむ」ような形になりました。

このつまんでいる点が支点です。

(右写真)

残りの指で包み込んで完成。

 

多くの人にとって叩きやすい持ち方で、昔はどの教材を見てもこの持ち方1択でした。

 

支点以外の、中指、薬指、小指を動かせば

シーソーのような動きで小刻みに叩くこともできます。

(動画をご覧いただくとわかりやすいです)

多くの人に馴染みやすい持ち方なのですが

この人差し指支点の持ち方にはちょっと注意点もあって、これは別の記事で解説しています。

【スティックの持ち方 人差し指支点の注意点】

netherdrum.hatenablog.com

ドラムスティック 中指支点の持ち方

 

今度は人差し指ではなく

  • 中指で「U型」を作る
  • スティックを置いて
  • 親指のはらでふたをする

中指と親指で支点を作って、すべての指で包み込んで完成。

中指支点でスティックを持つと

人差し指がゆるやかにカーブしてスティックに被さるのが特徴です。

(左写真)

 

また、人差し指の被さり方に注目。

左写真は良い例、右写真は悪い例。

 

右写真の悪い例では

人差し指の指先・爪が、まともにスティックに乗っかっていて

ドラムを叩いた衝撃で、指の関節を痛めてしまいます。

 

左写真の良い例では

人差し指の指先をスティックに乗せず逃がしています。

たったこれだけのことですが指の痛みやケガのリスクが大幅に変わります。

 

関連記事

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このNGな持ち方はドラム歴の浅い方がやってしまいがちで、けっこう危険です。

特にお子さんがドラムを叩いたり、幼稚園で鼓笛隊のバチを持つと、

人差し指でまともに衝撃を受け止めていることが意外と多く、指導者や親御さんにとっては要チェックポイントです。

 

このように指先、爪先をスティック上から逃がしておくのをおすすめします

ここまで

・人差し指支点での持ち方

・中指支点での持ち方

について触れてきました。

 

私自身は、中指支点の持ち方をメインに使っていて

ドラムレッスンの生徒さんにも、まずはこちらをおすすめしています。

 

その理由は後々、被さった人差し指でスティックを突っついたり押さえつけたり、操作を加えられるのが便利であること。

そして指先~背中までの筋肉の使われ方がバランス良く

長い間、ドラムを楽ちんに続けられること。

 

しかし人によっては、中指支点の持ち方に抵抗がある方もいます。

そういった場合は

人差し指支点を試していただくとしっくりくるという方が多いです。

 

人差し指支点は、スティックが扱いやすくて良いのですが

ちょっと注意点があって、別の記事で解説しています。

上達するために、身体を痛めないために、心の片隅に置いていただきたいと思います。

 

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ドラムスティック 小指支点の持ち方

続いて、小指を支点にスティックを持つ方法を紹介します。

まず写真のように、小指、薬指でスティックを持ちます。

スティックを手のひらの端っこに引っ掛けることができれば、指の力はほとんど必要ありません。

 

次に親指、人差し指、中指でスティックを軽く包み込みます。

ふわっと触る程度、スティックが横ブレしないためのガイド程度です。

外見上は中指支点の持ち方とよく似ています。

 

これでドラムを叩くとスティックのリーチが長くなることで単純にパワーが強くなります。

 

細かいテクニックがやり辛いですが

人差し指の付け根でスティックを押すこともできるので、意外と?対応力もあって、役立つ場面が多いです。

 

動画をご覧いただけるとわかりやすいですが

練習パッドを叩いただけで、段違いにパワフルな音です。

ついつい貧祖になってしまいがちなタム系の連打がくっきり聴こえるのは大きなメリットです。

ドラムスティック 支点のない持ち方

これまでの持ち方は

「まず支点を作って、その後に全ての指で包み込む」といった考え方でした。

 

支点がない持ち方は

5本の指が同じぐらいの弱さで、ただ全体にフワっと包み込みます。

 

特に、小さい子供さんに向いている持ち方です。

小さい子にとっては支点を作る=指2本でスティックをつまむことが難しいのでこちらの持ち方をおすすめします。

 

スティックを手全体で包み込んであげると

指でスティックを操作するよりも、腕~肩回り、体幹を動かすことが自ずと多くなるので

早期のうちに「体幹からドラムを叩く」ことが身につきやすいです。

 

脱力がしやすく体幹を使うことが促されることから、支点のない持ち方は大人にもおすすめです。

くわえて私の場合は、シンプルなリズムや、音を均一に揃えて叩きたいとき、

(ドラムはそういう場面が多いですよね)

シンプルな仕組みでコントロールがしやすいので、個人的にも好んで使っています。

スティックの持ち方を使い分ける

この記事で紹介した4種類の持ち方は、外見上はよく似ていますがそれぞれに違った持ち味があります。

 

個人的には

  • 中指支点の持ち方は、普段使いに最適な「バランス型」
  • 小指支点の持ち方は、ちょっと小回りがききにくいけど「パワー型」

といったイメージで(個人の感覚です)

短絡的な表現ですが、そんなに間違えていないと思います。

 

スマホゲームやテレビゲームでは

場面に応じて武器やアイテムを当たり前にように使い分けます。

戦う相手が炎のモンスターなら、氷の武器を選びますよね。

 

釣りでもゴルフでも、状況に応じて最適な道具・方法を選びます。

ドラムでも道具はもちろん、スティックの持ち方を使い分けができると役に立つので

1つの持ち方を選ぶのではなく

2種類以上の持ち方を使い分けられるようにするのはおすすめです。

ドラムスティックの持ち方は難しい

ここで「難しい」というのは

私が誰かに持ち方を教えるのがけっこう難しい、ということです。

 

プロドラマーを観察すると、それぞれに違った持ち方をしているし、手の大きさだって1人1人違う。

力の抜けやすさ、指の動きのクセ。

 

人体の構造上、合理的なセオリーはあるにせよ

感覚は人それぞれだから、最適な持ち方は人によって少しずつ違うはずです。

 

スティックの持ち方は長い期間をかけて少しずつ見つかっていくもので

頭で考えて試行錯誤もするし

膨大な時間をドラムに注ぎ込むことで、脳ではなく、身体が選び取っていく側面もあります。

 

ポンタさんが「スティックの持ち方を人に教えるなんて、おこがましい」とおっしゃっていましたが

他人の体内感覚がわからない以上、

不用意なアドバイスを言ったり聞いたりすると、かえって遠回りになってしまう可能性もあります。

 

冒頭にも書きましたが

この記事も含めてたくさんの情報に振り回されず、

早期に「持ち方を結論づけないこと」が重要で、むしろこういった記事を出発点と捉えていただくのがいいと思います。

 

この記事が皆さんのお役に立ちましたら幸いです。