(2024.04.24更新)
ドラム練習 1曲を極める?多くの曲でスキルアップ?
1曲を完璧にマスターするまで練習するべきか?
1曲に時間をかけ過ぎず、多くの曲を練習すべきか?
この記事では
ドラム初心者の方が効率的に上達するには、どちらの練習方法が効果的なのか?
深く考えてみたいと思います。
絶対的な正解は存在しないと思われるテーマで、私個人の経験則からの考えとなります。
ドラムを始めたばかりの方も、長く練習している方も、ぜひご覧ください。
ドラム初心者は多くの曲を練習するのがおすすめ
ドラム初心者の方は完成度70%でもかまわないので
1曲の完全マスターに固執せず、多くの曲を練習するのがおすすめ、と私は考えています。
楽譜の難しいところをモディフィケーション(省略・簡単アレンジ)すれば
1曲の練習に時間をかけ過ぎず、多くの曲にチャレンジすることができます。
もちろん、難しいことをじっくり練習するのは素晴らしい取り組みです。
完全マスターできるのに越したことはありませんが
場合によってはその難易度の高さが
挫折やモチベーションの低下につながって、効率的な上達にならないこともあります。
ドラム練習でのモディフィケーション
楽譜の難しい部分を省略したり簡単アレンジして、取り組みやすいようにパーソナライズします。
原曲のテイストをなるべく損なわずに
適正な難易度に調整することで基礎スキルが効率的に身につき、自信やモチベーションにつながります。
最近ではYoutubeでも「簡単バージョン」のドラム演奏動画があがっていたり
楽譜販売サイトでも、初心者向けに簡単アレンジされたドラム楽譜が増えてきました。
多くの曲を練習するのがおすすめな理由
1曲の完璧マスターにこだわらず、
ほどほどの完成度で多くの曲に次々チャレンジする理由は
演奏が「難しい・簡単」「出来てる・出来てない」といったことの全貌を、初心者のうちは知ることができないからです。
どういうことか?というと
私の経験則になりますが、初心者の場合は
「楽譜どおりに演奏できた」ということを「完璧な演奏」としていることが少なくありません。
しかし。必ずしも完璧な演奏 = 楽譜どおりの演奏 ではありません。
楽器を長く続けると理解できていくのですが
自分の耳が音楽的に鋭くなり
多くの情報を聞き取れるようになっていくので、楽譜に書かれていない音に気づき始めます。
たとえば
音のつながりの滑らかさ
絶妙なタッチのコントロール
ゴーストノートと呼ばれる非常に小さな音
脳内でのリズムの感じ方など。
紙の上には書き表せないような楽器操作や表現をしていることが聞き取れるようになっていきます。
言語化することもできないようなニュアンスだけど、
たしかに「隠し味っぽい、なにか」が存在していることに気づきます。
「プロの人達は楽譜に書き表せない技術を、思った以上に使っているんだな」
「自分は楽譜どおりにやってるのに、ダサい演奏になっちゃうのはこういうことなんだな」
「楽譜には目安程度のことしか書かれていないんだな」
上手な人が本当にいろんなことをケアしているのが少しずつわかっていきます。
しかし、初心者のうちにはこういったことに気づくのは難しいです。
自分が楽譜どおり演奏することに必死だからです。
楽器が上達するほど、その難しさを知ることになるので
かつて完璧にマスターしたはずの練習曲が、実は出来ていなかったことにも気づきます。
これはほとんどの熟練プレイヤーが経験していることです。
このとき自己評価が下がって落ち込んだり、ゴールが遠のいた気分になってしまいますが
これは「進歩したから全貌が見えてきた」という、自分が成長したことによるプラスの出来事です。
7割コピー練習法
個人的にはドラムを始めて1~2年ぐらいの方が最短・最速で上達するために
「7割コピー練習法」が効果的だと考えています。
私が勝手に命名した練習法ですが
多くの教室や他ジャンルの習いごとでも取り入れられている、普通の考え方の練習方法です。
選んだ練習曲の楽譜をみてみると
無理のない練習でクリアできる部分がたくさんある一方、
初心者の段階では太刀打ちできない、難しい部分も少しあるかもしれません。
いま太刀打ちできない部分はモディフィケーション(省略・簡単アレンジ)して
1つの難題に時間をかけ過ぎず、
その代わりに多くの曲数を練習する、といった考え方です。
レパートリー曲を増やしていくうちに
ドラム演奏のための基礎体力がつき、脳と身体の命令伝達やパターン学習がすすんで、地力が身についてきます。
そうして少しずつ経験と知識の断片がつながり
以前は難しかったことがあっさりクリアできてしまうことも多々あります。
7割コピー練習法は
練習曲が変わっていくサイクルが早く、練習内容も雑食で刺激があり楽しめるので、結果的に練習時間が増えます。
【重要】適正な難易度でドラム練習しよう
個人個人に合った適切な難易度の練習テーマを選ぶことが、効率的な上達につながります。
限界にチャレンジしながらも無理しすぎていない難易度が理想的です。
もし、練習のたびに挫折を味わうとか
手足の関節が痛くなる、といった場合には取り組みの難易度が高すぎるかもしれません。
これは筋トレで個人個人に応じた負荷をかけるのと同じで
筋肉への負荷がちょうどよければ、筋肉はその刺激で成長、発達します。
軽すぎると進歩はみられず、重すぎると怪我のリスクが高まります。
ドラムでは練習内容の難易度がちょうどよければ
適度なチャレンジでスキルもモチベーションもアップします。
簡単すぎるとスキルは成長しにくく、難しすぎると挫折やストレスが増えてしまいます。
まとめ
ドラム初心者の練習は
1曲に時間がかかり過ぎる完全マスターより、多くの曲を練習するのがおすすめです。
完璧な演奏とは、楽譜を完全コピーすることではありません。
上達とともに
楽譜には書かれていない重要な情報を聞き取れるようになっていき、
「完璧」の全貌が見えてくるとともに
なにをもって完璧な演奏なのか?決まりがないことも明らかになってきます。
特にドラムを始めて1~3年ぐらいの段階では
1曲の練習に時間をかけるよりも
たくさんの音楽に触れて、多くの初歩的な技術を身につけるのが効率的だと考えています。
ここまで書いておいてなんですが
最後に「効率は正しいのか?」というと、そうとも限らない側面はあると思います。
あらゆる分野でコスパ・タイパ主義は疑問視されていますが
楽器の練習では
手探りとか回り道をすることで思わぬ適正の発見や、能力を身につけることもあります。
そういった非効率な行動をとった結果の予想のできなさには、人間っぽい魅力が詰まっているとも考えています。
ときには少しだけ、非効率で役に立たない練習を試してみるのもおすすめしたいと思います。
この記事がお役に立ちましたら幸いです。