ネザードラム

文章と図解でアプローチするドラムブログ

私的・叩きやすいドラムセッティングのやり方

(2024.4.18更新)

  • スタジオのドラムがやたら叩きにくい
  • スティックがタイコの皮に命中せず、枠(リム)にカチカチ当たってしまう
  • シンバルを叩くとき何度も空振りする

これらはドラムのセッティングを正しく知ることで解決できます。

ドラムセットはパーツやネジがたくさんあって

どれを動かせばいいのか?よくわからない…

一見しただけではわかりにくいドラムのセッティングですが

慣れれば誰でも確実に、叩きやすく調整することができます。

 

【関連記事】

「スタジオ個人練習のススメ」も、ぜひご覧いただきたいのですが

netherdrum.hatenablog.com

 

この記事では、ドラム練習で音楽スタジオなどに行ったとき

そこにあるドラムセットを自分1人で最適にセッティングできる、といったレベルを目指します。

 

ドラムセッティング ドラムスローン

ドラムのイスの高さ

ドラムスローン。イスです。

 

スタジオでもライブハウスでもドラムセットは共用で、いろんな人が使います。

自分の前に叩いていた人の体格によっては、叩き辛い状態になっていることもあります。

 

どのような状態にあるドラムセットでも、自分好みにセッティングすることが重要で

セッティングがきちんとできていないと、普段の練習の成果が出せなくなってしまいます。

また、セッティングにはスピードも大切。

時間がかかってしまうと

スタジオでの練習時間を浪費したり、ライブではお客さんを待たせてしまうことになります。

 

そこでまず最初にドラムスローン、イスの高さの調整をおすすめします。

 

ドラムがどんな状態であっても、イスだけに着眼して高さを合わせていきます。

他のタイコやシンバルがあさっての方を向いていたとしても、イスだけに着目して高さ調整します。

 

そのためには

自分のイスの「いつもの高さ」を知っておく、決めておく必要があります。

 

イスに背を向けて、座面に膝の裏側を触れてみます。

ここ。

ヒザの真裏に、イスの座面が触れるように、イスの高さを調節します。

 

この高さはだいたいの人にとって、まあまあちょうど良いと思います。

人によって

もう少し高い・低いほうがいい、といった場合は、この高さを出発点として自分好みを探します。

ドラムセットとイスの距離

次にイスとドラムセットとの距離です。

イスの置き場所がテキトーだと、ドラムに近すぎたり遠すぎたりして演奏がしにくいです。

 

1つ、目安を提案すると

ごく自然にイスに座り、右足をストンと落とす。

そうしたら写真のような状態でペダルに右足が乗っかる、

「そうなる距離にイスを置く」

この方法で、まあまあちょうど良い距離にイスが置けます。

 

ただし以下のような

膝が伸びきってしまっている状態や、膝が鋭角に曲がっている状態は

演奏しにくいはずなのでオススメはしません。

ここまでで

・イスの高さ

・ドラムセットとの距離

がちょうどよくなりました。

 

続いて

左足もごく自然に床にストン、と落とします。

 

股間の前にスネアドラムを置き、

ハイハットのペダルは左足で踏みやすい位置に持ってきてください。

写真のように

あくまでも自然な両足の位置でペダルが踏めるように、ハイハットスタンドを置きます。

自分の身体を道具に合わせません。

自然に座っているだけ。

道具を自分の身体の位置に合うように置きます。

ドラムセッティング スネアドラム

スネアドラムのセッティングについて。

叩きやすい高さや角度に調節するために、スネアスタンドの各ネジを触っていきます。

提案する目安は

スネアドラムの打面が、おへそから水平にスティックを出した高さから拳1個、下。

この高さを出発点にして、自分の好みを探すのがオススメです。

 

スネアを叩くときに

スティックが皮に命中せず、手前の枠(リム)にカチカチ当たることが多い場合は

スネアが高すぎるので数cm、低くして探ってみます。

 

ここでスネアスタンドの構造を見ておきます。

Aのネジを緩めることで上下させることができます。

Bのネジを緩めると傾き、角度を変えることができます。

これで、高さと傾きを調整すれば、叩きやすいセッティングを見つけられます。

慣れればたった数秒でセッティングできるようになります。

 

スタンドの扱いで注意したいのは

どこかのネジを緩めると、ネジより上の部分がガクン!と落ちる、ということです。

ネジを緩めるときは必ず、もう一方の手でスタンド上部などを支えてあげてください。

 

以下のYoutbe動画では

スタンドを支えなかった場合の危険なシーンを実際にお見せしています。

ケガの防止、機材を壊さないためにもぜひチェックしておいてください。

危険シーンから始まります。

 

スネアの角度について。

水平に近くセッティングしたスネアと、手前を大きく傾けたスネアです。

スネアドラムを手前に傾けると、叩きやすい状態に思えるのですが

実は傾けすぎると、デメリットがあるのでオススメしません。

このデメリットについては後述します。

 

理想はあまり傾け過ぎずに演奏がしやすい範囲で、できるだけ水平、です。

ドラムセッティング ハイハットの高さ

ハイハットの高さは

適正にセッティングされたスネアから、私の場合は拳2個分上を目安にしています。

 

ここまでで

・イス

・スネア

ハイハット

これら3点のセッティングが終わりました。

 

叩きづらい状態だったドラムセットでも

この3点をセッティングすると、いつもどおりの感覚になってきます。

足周りが整うとかなり安心感があります。

 

目標は

イス、スネア、ハイハットのセッティングを1~2分で終えることです。

すぐにマスターするのは難しいですが、少しずつ手際が良くなっていきます。

 

ここまでを1~2分で終えられると

ライブではお客さんは待たされている感がほとんどなく、迅速に演奏が始められます。

ドラムセッティング タム

ハイタム・ロータムのセッティング

タムスタンドの各ネジを緩めることで、高さ、角度を調節することができます。

 

1つの目安としては

写真のように右側のロータムの下部分に注目します。

ここがバスドラムにぶつからない程度に合わせます。

 

そのロータムに対して、左側のハイタムをきれいに並べます。

そのような状態を出発点とするのがオススメです。

タムホルダーに関しては

メーカーごとに構造が違うのですが、こちらはPearlの90年代のタイプ。

上下・角度・回転ができるオーソドックスなタムホルダーです。

違うタイプのタムホルダーもありますが

いずれもシンプルな仕組みになっているので

初めて見て触っても、わかりやすく使えるものがほとんどです。

タムの角度 立て過ぎ問題

初心者の方に注意していただきたいのが

このような、タイコの角度を手前に傾け過ぎている状態。

(子供の場合は身長の問題でやむを得ない場合もあります)

 

スネアドラムの項でも

タイコの角度を手前に傾けすぎるとデメリットがある、と書いたのですが

それは叩く瞬間、スティックが皮をこすってしまうことです。

 

スティックが皮をこすると

・皮に触れている時間が長くなる

・皮を押さえつけている

といった状態になるので、

 

これによって

・音の響きが損なわれる、良い音が出ない

・リバウンドが得られない、ロール系のテクニックがやり辛い

といった弊害が出てきます。

叩いた瞬間、スティックと皮が平行に近くなるようなセッティングをしてあげると

リバウンドを得やすく、良い響きが出しやすく、ロール系テクニックもやりやすい状態になります。

 

ただしタイコには枠(リム)があるため、「本当のど平行」にはスティックを当てられません。

平行にこだわり過ぎることはなく、演奏がしやすい範囲で。

フロアタムのセッティング

フロアタムのセッティングの1つの目安は

スネアドラムと同じ高さ、同じ角度、だいたい左右対象という状態が出発点としてオススメです。

 

個人的にはフロアタムは

手前の枠に手が当たって流血したことがあるので

距離が近いと怖くて、自分の体から遠ざけて置くことが多いです。

ドラムセッティング シンバル

私の場合は長年、

クラッシュシンバルは顔と同じくらいの高さにセッティングしています。

 

ライドシンバルに関しては

よく質問をいただくのは、ライドシンバルをどの位置に置くか?です。

これはライドシンバルを

  • ロータムの右上に配置するか?
  • フロアタムの向こうに配置するか?

という意味の質問ですが、どちらでもOKです。

 

私の教室では多くの生徒さんがこの写真のような配置を好むので

フロアタムの向こう(写真いちばん右)にライドシンバルを置いています。

シンバルは叩くと揺れることも考慮に入れておきます。

シンバルとタムとの間隔が狭い状態だと、叩くたびに揺れてぶつかるのでシンバルにヒビが入ってしまうかもしれません。

シンバルを実際に揺らしてみて干渉がないか、チェックをお忘れなく。

 

いかがだったでしょうか。

ドラムセットの扱いに慣れない方にとって、この記事がお役に立ちましたら幸いです。